上州武尊山スカイビュートレイル140

たかぼー

2019年09月24日 16:09

自分にとってのゼロ関門。

夜勤明けに群馬県までの長距離ドライブで、前日受付の17時までに間に合うのか。
興奮してるのか緊張してるのか、殆ど眠くならずにほぼノンストップで15時過ぎに会場入り。


これまでに参加した大会とは一味違う。

ゴツゴツの強者ばかりに見える・・・

ま、距離143km&累積標高10000m程の大会なのだから、エントリーしてる時点で全員強者だけども
まずは受付。
所持品のチェックを受けてパス。


その後、思ったより会場に早く着けたので思い掛けずブリーフィングに参加する事ができた。


横山さんから注意事項等の説明を受ける。大人しそうな印象の人だった。

一旦会場を後にして道の駅白沢で夕食と温泉。
会場隣の駐車場である小学校グラウンドに戻り車中泊。
ドロップバックの準備などしてたら時間が過ぎていき、結局寝れたのは21時。
01時過ぎには起きて、レースの準備。

台風の影響は殆どなく、予想外に雨は持ちそう。嬉しい誤算。
大会スタートのコール
who are you?
Finisher!
の掛け声でスタート!



とうとう始まった。
長い長い旅のスタートよ。



不安事項の膝、すぐに痛くなるだろうな・・・と思いながら走ってたら、何と10kmもった。
そこからは案の定、痛ててて・・・
仕方ないので我慢しながら走る。
実際のところは10kmももった、なのだけど、あと130km以上残ってるんだぞ、どうすんだよ?ってのが本音。
よし、今から痛みは忘れる!と決めて走るが、無理!

04時スタートで暗闇の中ヘッデン装着して走ってたが、1時間ほどしたらうっすらと夜明け。


夜には雨になる予報だけど、天気が良いうちに2000m級の山2つを超えられるのは助かる。

膝の痛み、不思議と山の登りでは殆ど痛みがない。
ロードと下りで痛みが出る。ずっと登りで良いのに
なので剣ヶ峰と武尊山の登りでは調子よく進めた。
登りは自分のパート。


剣ヶ峰から。
くー!最高だ〜!


で、ロードパートに突入し、膝の痛み再び

武尊神社前を通過する際に、この膝でも無事に完走出来ますように、とお願い。


普段信心深くない奴が、こんな時だけお願いしてもダメだよね

そして2つ目の2000m峰、上州武尊山に突入。
武尊でほたかと読む。読めないよね。ただ日本百名山の一つ。

この百名山、さすがと言うか、普通の登山道を通らせないコース設定がふざけてるのか、とにかくエグい。
自分のレースプランでは、この2つの2000m峰を3割程度の力で越える事を考えていたのだけど、武尊山の登りでボロボロにされる。
もう7割方、体力使ってんじゃね?と泣きそうになる。

ヨロヨロと登ってると、急に目の前にスタッフの方が登場し、頂上と知る。
着いたー。おおー!ナイスビューやん


右端のトンガリがさっき通過した剣ヶ峰らしい。
稜線通しで来たらすぐなのに・・・と選手一同ブツブツ・・・


下りの途中で残り100kmの案内看板発見。
気が遠くなる・・・



A3のエイドで武尊山に叩かれた体を休める。
固形物が食べられるので身体はまだ大丈夫だと知る。


この大会、エイドステーションやボラスタッフの方のありがたみが本当に分かる。
暖かい食べ物ってすごく元気出るんだわ。

A3通過後に待ち受けてた試練が、これでもかと襲いかかってくるゲレンデ地獄。
直登だし、急斜面だし、それを全部下らないといけない。
今の自分にとってこのくだりは地獄以外の何物でもない。
膝がやばい・・・


ゲレンデの下りはスピードが出るし、出さないと他の選手との差が開き過ぎる。
スピード出すな、出さねば遅れる、葛藤の末にようやくA4のエイド。
音楽をガンガンかけて賑やかなエイド。


膝の回復を少しでも見込み、長めの休憩。
この時点で約60km。まだ半分も来てないよ。。。
今の自分にはエイドステーションしか楽しみがない

ゲレンデに痛めつけられた膝、そんな簡単に回復する訳もなく、A4からのロードで追い打ち。
一山登った先の下りで、、、とうとう膝が死んだ。。。

これはやばいヤツだ。我慢で何とかなるヤツじゃ無い。
これ以上やると動けなくなる。

自分が偉かったのは、そのままの速度で進まなかった事だな。
この判断が結果して完走に繋がったと思う。
判断は、死んだフリして次のW2のウォーターステーションまで行く事。
ガンガン抜かれた。悲しいくらい。
(自分の通過順位を確認すると、ここから急激に落ち込み80人位に抜かれたみたい)

休憩中にいくみんに状況を連絡すると時間や順位は気にしないと返信もらう。
そだな、もともと膝悪いの分かった上でここに来て、そもそも完走が目標だったな、と気を鎮める。

死んだフリして何とかW2の十二様と言うウォーターステーションに到着。
ボラスタッフの方にカッターナイフを借りてテーピング処置。


これまでの経験が活きた。
この大会の必携品でテーピングがあるから持ってるけど、使い方が分かってなかったら意味ないもんね。
とりあえずドロップバッグを受け取れる次のA5のエイドまでの仮処置を実施。

テーピングって偉大。
ただのテープなのに。
膝は完全に壊れてたはず。(これまでの経験上)
何もしなければ間違いなく壊れてたはず、なんだけど、首の皮一枚で留まってる感じ。
これ以降、レース中に何度もこれ以上いくとマズい!という感覚に襲われるが、ギリギリでテーピングが止めてくれた感覚。
今後は山行きの救急セットにテーピングと携帯ハサミは必携で入れておこう。

A5到着。ここで全行程の約半分。
これ以降は夜間パートに突入していくので、預けていたドロップバックを受け取り、着替えをしてリフレッシュ。
仮処置だったテーピングも更にしっかり補強。これでダメなら仕方ない。

このエイドではカレーライスを提供してくれる。おかわり。美味いわー
死んだフリしてるから体力には十分余裕があって、まだまだ胃腸は大丈夫。


なのでまだ半分70km残ってるけど、体力的には大丈夫。ダメな時は膝が完全に壊れた時だな。

A5には19時半に到着し、21時出発。1時間半の休憩。ガッツリやな。
でも本当はここで更に1時間ほどの仮眠を、とか考えていたんだけど、膝が壊れてもう走れないのでプラン変更。
このまま夜通し歩く事に。少しでも差を埋めたい。

A5出たら雨。
夜になってとうとう雨が降り出したよー
厳しい夜になりそうな気配。
我慢我慢の夜になる。

A5からA6パートはロードや林道が多いが、ひたすら歩く。
皆が走る場所で歩くのでどんどん抜かれる。
我慢我慢。皆と競ってる訳じゃない。
自分自身と向き合い、自分が今できる事を。

A6からA7は林道から雨でぬかるんだズルズルの山間部。
膝の痛みの影響があまりない登りで差を詰めるが、下りや走れるパートで簡単に抜かれる。
人と競ってる訳じゃないと分かってるけど、遅いのが客観的に見えてしまう。
身体はしんどくないのに、走れないもどかしさ。
我慢我慢の、我慢が続く長い夜。
しんどい。

A7到着。深夜2時半くらい。


お粥を頂く。
一瞬雨が止んだのでレインウェアを片付け歩くが、すぐに雨で再び着込む。

次のW3までフラフラした人を何人か見かける。
みんな眠さと戦いながら歩いてる様子。
近くにいた人と眠気覚ましに話しながら進む。
辺りは霧で真っ白。
ヘッデンの明かりが反射して更に視界不良。
前からヘッデンが近づいて来る。コースロストした選手で、真夜中に一人ぼっちのロストは応えただろうな。

W3到着し、休憩で座りたかったが用意されたパイプ椅子は満席。
よく見ると座ってる殆どの選手が寝落ち状態。
雨で地面にも座りたくないので、仕方なく先に進む。

次のエイドまでは6km。
ロードを走ったら30分なのに山の6kmは果てない。
ほんのりと夜明けが近づいて来たのが分かり、久々にヘッデン外し、レインウェアも脱ぎ、気持ちを入れ替える。

A8到着。最後のエイド。
残り約24km。
ようやく現実的な距離になって来た。
我慢に我慢を続けて来たが、最後は膝が壊れても良いから、悔いのないように出し切ろうと考えてた。
このまま我慢だけで終わるのは我慢ならん。なんて

もう我慢しなくても良いんだと、気持ちを抑えきれずにスパート。
W4は携帯コップで水を一杯だけ貰い歩きながら飲んで通過。
でも、スパートしてから気付いたが、山の24kmはスパートするには長過ぎた・・・
途中で少し後悔したが、我慢し続けた甲斐あり膝も最悪な一時期よりマシ。
ええーい、行っちゃうぞ、バカヤロー
走ると恐怖のあの膝の痛みが近づいてるのが分かるので、トレッキングポールを使い、特に痛い右膝の代わりにして走る。
それでもポールを突くタイミングがズレると痛みが走るので、歩きも混ぜながら進む。

W5で残り6km分の水分だけ補充し通過。
下りパート。
膝が、膝がヤバいぜー

長い長い雨乞山が終了し、下界に。ロードが懐かしい。
時計を見ると10時53分。11時まで7分。
近くにいた選手にあと1km程ですかね?と聞くと「だと思いますけどね」と。
11時までに間に合うかも。。。

出し切れ〜

ポールを突きながら変な走り方で猛ダッシュ(のつもり)

間に合え〜

思ったよりロード長い!

痛てーよ!
形相から本気で走ってたのが分かったのか、ボラスタッフの方から「頑張って!残り700!」

あと4分。

行ける!!

ゴール直前、最後に渡る有名な橋。
余韻を楽しみながら渡るはずが、そんな時間的余裕はなく、写真を撮ってダッシュ再開。


なので、写真斜めってるー

見えた。


終わった〜

ゴールする直前、泣きそうになった。
あまりこんなのに感傷的になるタイプじゃないと思ってたけど、泣きそうになるのを耐えた。
こんな自分に自分がびっくり。え?なんで?

我慢、我慢して、最後に出し切れたからかな。


完走証も受け取らずへたり込んでると、最後のロードで会話した選手が「間に合いましたか!?」と。
みんな体はボロボロ、顔はニコニコ。そんな会話が嬉しい。

もう一度走りたいかといえば、とても今はそんな気分じゃないけど、どうかな
素晴らしい大会になった。
ボランティアスタッフの方々には感謝してもし足りないくらい。
お世辞抜きに対応も素晴らしかった。
あと家族はもちろん、レース中に応援してくれてる友達もたくさん居たみたい。
この大会、選手の通過タイムがサイトで分かるので、気にしてくれて居たようで、大会終了後に連絡が。
ありがたいなー。感謝です。

次の大会はトレイルじゃなく、11月の福知山マラソンにエントリー中。
今は身体がボロボロでしばらく走る気が起きないので、どうなることやら。
まぁ膝が壊れたので、しばらくはランオフです。



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