その3は
こちら
8月16日 01時50分起床。
昨日の晩から雨が降り始めたけど、テントの中からはどうも止んでるみたい。
今日はどうしてもいくみんに素晴らしい景色を見せてあげたかったから
天気お願い!ってテントを開いたけど、開いた瞬間から分かる外は濃いガスの中
目的の奥穂高岳までは50分のコースタイム。
これまでのいくみんの歩き&夜間という事を考えると2倍は見ておいた方が良いと判断。
ご来光が5時として逆算し、撤収時間も考慮した2時起床3時出発とした。
でもこのガスガスの中を歩いてもご来光どころか雨かも知れん…
風もある。ご来光登山は中止も考える。
起きたいくみんもこの暗闇のガスの中を歩くのは不安だと言う。
俺がいるから大丈夫!と言っても無言。全く信用されてないぞ・・・
ま、まぁ自分も不安だし
自分一人で歩くなら何でもないんだけど、いくみんがいるから判断に迷う。
なんでも山は自己判断!
相談した結果、行く!って決めた。
暗闇の中、ヘッデンの灯りでテントを撤収し、02:30に出発!
思いのほかテントの撤収に時間がかからず、予想外に早い出発。
やっぱ大人2人だと早いな…。
そうなると…
早く着きすぎるんちゃうか、これ…と不安も少々
時折ガスは切れるが、相変わらず風は強い。
ジャンダルムに挑戦した時もそうだった。
飛騨側からの風が特にキツイ。
止まってしまうと急激に体温が奪われる。
ちょっといくみんが心配。
いくみんもまさか夜中にこんな場所を歩かされるとは思わなかっただろう。
ヘッデンでマーキングを探しながらの奥穂高岳へ続く道。
そしてやはりと言うか何と言うか、順調に
歩いてしまったいくみん
コースタイムとほとんど変わらないタイムで歩き
やばいな、時間余りすぎるわ…と心の中で焦るたかぼー。
だって凄い風で止まったら急激に寒くなるし、かと言って歩き回っていいような安全な場所じゃない。いや、自分は大丈夫なんだよ、自分だけなら…。
そして頂上までもう残り10分という地点で大休憩を取ることに決めた。
時間は03:40位だった。早過ぎる…。
場所的に風を遮れる岩の陰だから、ここなら長時間でも耐えられる。
出来れば4時半近くまで休憩、と言うか風から身を隠していたい。
頼む、我慢してくれよ。
変なこと言いだすなよ…って心配してた。
いくみんの性格上、言い出したら聞かない。
旦那はよく分かってるんだ。。。
もう行こう。
出たー!
いちばん恐れてた言葉。
言うんじゃないかと恐れてた言葉。
たった10分。
たった10分。
大休憩するって言ったやん。
なんで10分しか我慢できんのー?
休憩じゃないんだよ、これは。
低体温症とか避けたいわけよ、分かる?
旦那は必死に伝えるが聞き分けのないいくみん。
ま、分かってたけどね。。。
あとは頂上に出来るだけ身を潜める場所があるのを祈るばかりなり。
04:00 奥穂高岳到着。3190mの北アルプス最高峰。
寒いっ!
分かってたけど寒い!
気温は4℃。風がキツイんで体感温度はもっと低い。
自分は大丈夫だけど、いくみんは相当寒そう。
すぐに風が当たらない場所を探しいくみんを座らせ、バーナーでお湯を沸かす。
日の出まであと1時間ある。
とにかく体の中から温めなきゃ。
いくみんにはコーンポタージュを渡し、自分はコーヒーを。
奥穂高岳でコーヒー飲むのが楽しみやったんだ。
こんな状態で30分ほど耐えてた。
きつい時間だったけど、一番良い思い出として残ってる時間。
そしてゆっくり空は明るんできて、後続が続々登ってきた。
さっきまでの2人だけの空間が嘘みたいに賑やかになった。
でもガスは相変わらずでご来光は難しそうだ。
時折切れる瞬間でどの程度見れるかどうか。
ご来光の直前、一瞬だけ姿を現した槍ヶ岳の姿。
本当に一瞬で、この山行で後にも先にも見れたのはこの一瞬だけ。
そしてご来光。
あのガスの中ではこれだけ見れただけでも十分です。
いくみんでも一歩一歩歩けば日本で3番目に高い山でも着きます
下山は
その5へ続く。