薬師岳からの撤退 その3

たかぼー

2012年06月29日 22:21

その2はこちら

夕方までの時間が長い。
6月ってめっちゃ日が長いんだなーと実感する。
少しづつ日が陰って来たのが19時過ぎ。
痛い膝を引きずって少し高台まで移動する。

30分くらい立ってたけど、寒かったな。
この時間には槍もはっきりと頭だけ。

この膝じゃやっぱり無理だな、と振り返った薬師岳方面。

日が暮れてからが最も赤く染まる時間。

テントに帰る際に決めた。
明日はそのまま下山しよう・・・
無理したら行けるかもしれないけど、山は逃げんよ。
またいつか来たらいい。

そしてテントに入って眠ろうとするも眠れない。夕方ちょっと寝たのが失敗。
しかもめちゃ寒い。
テント内でも1℃。
持って行った服を全部はおるような形でシュラフに潜りこむ。

そのまま1時間・・・2時間・・・
この時間ではさすがにあたりは暗闇で、ほぼ無音。
こんなテン場は初めてだ。
そして、果たしてどれくらい寝たのか寝てないのかわからない時間が過ぎた時、テントで寝てる自分の頭上でハッキリと

ザグッ ザグッ

と何かが歩く音。

若干寝ぼけてた頭が一瞬にして緊張へ。
すぐに昼間のツキノワグマが脳裏に蘇った。
姿が見えればまだしも、テントの中で視界は聞かず、シュラフで身動きが取れない状況で音だけがハッキリ聞こえるって怖い。
昼間も夜も、山で恐怖を感じたたぶん始めての経験。

幸い音はすぐに消えたが、結局は眠りにつく時間がまた遠のいた出来事だった。

翌朝、4時に起きて朝食。
お湯を沸かしてきつねうどん。なんせ寒い。
結局テントを撤収して出発したのが5時過ぎ。
静かな太郎平小屋をスルーして地獄の下山が始まる。

寒いはず。あちこちに氷が張ってた。

下山してすぐに膝痛が発生。
自分の膝痛は降りる時にとにかく痛みが伴う。登りはまし。
だましだまし、休みながら下山。
敗者の後ろ姿。

コースタイム3時間半くらいのところを3時間半少しオーバー。
我慢我慢の3時間半。
何時もながらキツイ。


途中姿を見せてくれた剱岳。
やっぱちょっと違うな、剱は。


こうして途中敗退した薬師岳山行。
そして不思議なことに平地では何事もなかったかのような膝。不思議。
それでもいい経験を沢山した実りある山行だった。
今回の経験を次の山行に生かさねば。

ただの機器だけど、今回は沢山助けてもらったMy iPhoneに感謝。

またいつか必ず戻ってくるぞぉ。

下山後の有峰湖


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