北鎌尾根 単独 暴風雨 考察

たかぼー

2014年08月17日 09:41

北鎌尾根に関する個人的な考察の記録。
北鎌尾根へのルート
1日目はこちら
2日目はこちら

個人的な感覚になるが、北鎌尾根の難易度は高い。
今回のルートは 上高地→槍沢→大曲→水俣乗越→北鎌沢出会→北鎌沢右俣→北鎌のコル→槍ヶ岳→飛騨乗越→槍平小屋→新穂高温泉 の1泊2日。
条件は単独、強風、雨、登攀道具無し。

■難易度
ある書籍では奥穂~西穂の縦走ルートと同じ【登攀1級上】と同じ扱いであるが、雨が降っていた事もあり、北鎌尾根は数段上と感じた。比べたらいけないくらい上。
雨が降っていなかったとしても上。
ネット上では難しくないような書き方をしている記事も見かけるが、安易に信じないようにした方が良いです。
そういう人達は実力が伴ってる人なんでしょうが、遭難者増加の助長をしてるかも知れません。
安易に行けば事故を起こす可能性が非常に高い場所です。
個人的には「是非行ってみて!」なんて絶対言える様な場所ではありません。
奥穂~西穂縦走では「体力があれば行ける」と書いたが、北鎌尾根は体力だけじゃ行けない。
(過去、ジャンダルムの記録へ)
体力は絶対。あとクライミングの技術、そしてパワーも備えていないと厳しいという実感。
普段からトレーニングしている人しか行かない方が賢明。
ここに来る様な人であれば当然備わってると思うが、地図を読む力と岩歩きの経験は必須。
単独ではなおさら。
単独とパーティーでは安心感が全然違うと思われる。確保もしてもらえる。
是非パーティーで行く事を推奨。
自分自身に関しても悪天候に行くんであればもっと実力を付けないとダメ。
今回は運が良かった。

■天気
当然晴れの日を目指して行くべき。
今回、行きたくて雨の中北鎌尾根に行った訳じゃない。
日曜日時点での天気予報が外れ、それを信じた自分が悪いだけ。
予想天気図からピーカンとはならないなぁ・・・というくらいしか考えられなかった。
今回は台風が直前で通過しただけあって天上沢、北鎌沢の水量が事前情報と全然違った。
北鎌沢の登りも厳しくなるし、当然北鎌尾根上はさらに危険度が増す。
これに尾根上では強風がプラスされるので、夏山なのに予想外の寒さに今回はまいった。
尾根に出てしまえば5時間ほどは逃げ道なし。
今回はまさにこれで、1日目に尾根上に出てしまったので、翌日は『行くも地獄、帰るも地獄』という状態。
まぁ尾根上に行くと決めた時点で、先に進む事を決心してはいたんだけども。
水量の増した北鎌沢を下る危険性と、水俣乗越へ登り返すザレザレのルートを思い返すだけで、今回はほぼ迷わず 北鎌尾根に進む事を選択した次第。決して撤退を考えていなかった訳ではない。どちらも地獄だっただけ。
天気が悪ければ北鎌沢出会までで、早めの判断を。
(出来れば水俣乗越までで。荒天時に天上沢の遡上は沢が多くて迷うかも)

■日程&ルート
北鎌尾根へ行くルートは主に3つ
1、今回の、上高地(もしくは新穂高側)から水俣乗越を天上沢へ下るルート
2、大天井ヒュッテから貧乏沢を下り北鎌沢出会を目指すルート
3、高瀬ダムから入り水俣川を遡上するクラシックルート

今回のルートに関しては、2500mほどまで水俣乗越へ登り、1800mほどの北鎌沢出会までの下り。
さらに2500mほどの北鎌のコルまで登り返すという事を1日でこなしたが、体力的に結構きつい。
出来れば北鎌沢出会で幕営すべきかもしれない。そうすると2泊3日の行程になるが、北鎌尾根なのでそれくらいの余裕は必要なのかもしれない。急いでも危険が増すだけ。尾根上を歩いてる人にも迷惑が掛かるだろうし。

安全に北鎌尾根を踏破するために荷物を軽量化したいのであれば、大天井ヒュッテの小屋泊まりとし、テン泊装備無しとなる貧乏沢経由のルートが良いかもしれない。うん、これが一番安全性高いかも。

ただ時間は掛かるかもしれないが、高度を少しづつ上げていける天上沢を遡上していき、行こうと思えばP1から取 り付けるクラシックルートが実は一番楽しめるコースなのかも知れない。

■装備
ヘルメットは必須。
今回はハーネス・ザイル等の登攀道具については単独なので持ち込まなかった。
どちらかというと、日数制限もあり荷物を軽くしたかったというのが本音。
事前情報でも登攀道具は無しでも可、とあったためだが、パーティー組むなら絶対あった方が良い。
そして荷物はなるべく軽くし、小さくパッキングする。
体力の消耗も激しいルートなので、荷物でバランス崩して滑落は十分にありえる。
靴については個人差もあるが、夏季に限ればアプローチシューズ的なものが良い。
テン泊装備で行くのであれば、テントの軽量化をはかりツェルトで済ませる事も良いかもしれない。
ツェルト、持ってないので尾根上の強風に耐えられるかどうかは不明ですが・・・
あとGPSがあれば心強い。今回は頼みのiPhone GPSが雨で死んでしまってピンチに。
高いけどガーミンとか買えればいいんだけどね、無理だね。。。
iPhoneの雨&結露対策。気を付けてはいたんだけど必要と分かった。。。

■事前情報
この時代、情報はいくらでも手に入る。
ただ今回に関してはあまり詰め込むような事はしなかった。
あまりにも情報を入れて北鎌尾根を踏破してもなぁ・・・せっかくだから自分の実力で行きたいよなぁ・・・なんていう自己満 足を満たしたかったからだが、だから道迷いも結構あった。特に北鎌沢右俣遡上で。
あと北鎌沢出会では、ここで本当にいいのか?という不安が強かった。
結果として自信には繋がったがお勧めできない。素直にポイントとなる事前情報を頂きましょう。
ただし北鎌尾根に関する情報は案内看板も何も無いので、書いてる人によって違うこともありました。
その辺は気を付けないといけないところです。

■保険と登山届
山岳保険には必ず入りましょう。
上高地での登山届はもうすぐ義務化されるようです。
実は私、山岳保険に先月はいったばかりです・・・

■個人的な忘備録
iPhoneの雨対策、というか結露の対策が何か必要。
高度が大きく変化(温度変化)が激しい場所ではケースに入れない方が逆に良いかもしれない。

トレッキングポールの収納場所を考える必要がある。
両手を使いたい時、ザックを降ろさなくても、すぐにポールを仮にしまえる方法。
安全面に大きく貢献するはず。

今回カメラは軽量化の点から一眼は止め、昔のデジカメ Canon S90 を持参した。
結果、山行の記録は出来たが、一眼に慣れてしまった眼にこの写りはストレス大。
今後のバリエーションルートの事も考えると、写りの良いコンパクトなカメラが欲しい。。。

今回初めて導入した装備にハイドレーションがあるが、とっても使える。
北鎌尾根などの休憩ポイントもロクにないような場所では、その貢献度は大きい。

ツェルトはもしもの為にも購入しておいた方がいい装備。
今回のような場所ではテント代わりにツェルト装備にしたら大幅な軽量化が可能。
お金に余裕があればなあ。。。

登山靴は山行スタイルに合わせて変化させた方がいい。
重登山靴でバリエーションルートはやや厳しいかもしれない。

■北鎌尾根を目指した目的
北鎌尾根を目指した理由は有名なバリエーションルートであったから。
有名な場所は他にもあるけど、単独で行けるここはやはり魅力的で。
自分は基本ソロなんで。
最近、どの山を歩いていても多少の物足りなさがあって、ただ歩いてる感が否めなく。
・・・これは完全に個人の考え方ですが。
難しいといわれる場所の経験は奥穂~西穂間ですが、思い返すとあれは楽しかった。
岩稜登りが特に楽しかった。剣、早月尾根の岩稜も前穂の登りも楽しかった。
そんな事を考えてると、一般登山道最難関といわれている奥穂~西穂間以上のルート?
もうバリエーションの世界だなぁ、となりました。
自分自身に対する挑戦でもあります。自分はまだ頑張れる!

そしてもう一つの理由。
子供達が大きくなって親になって、自分の息子達に「うちの親父は昔一人でこんな所に行ったらしい、ほんまバカやろ?いくみんもよー許すよなぁ。」と、笑って昔話をしてもらえる様な親父になりたい。
子供達が親父を自慢できるような事を何か残したい、といつも思ってる。
でも死んだら意味ない。そこは気を付けないと。

これからまだまだ頑張ります。


あなたにおススメの記事
関連記事