2010年09月06日
親子で北アルプスへ その4
■8月26日(木)
03:00 双六小屋テン場にて起床。身支度を整える。
03:30 熟睡する長男坊を起こして出発。
目指すは双六岳山頂。山頂からの日の出を見せたい。
コースタイムなら1時間。
長男坊がいるので1時間半あれば着けるだろうと言う考え。
たぶん日の出は5時くらいだから。
甘かった・・・。
眠い長男坊は歩き開始30分で弱音を吐く。
ネガティブワードは書くのも嫌になるくらい出た。
暗闇でヘッデンと懐中電灯だけの歩き。視界はほぼ無い。
目標どころか数メートル先も見えない状況で仕方ない事かも知れない。
でもその中で「頭痛い」だけは気になった。
初めての北アルプスで睡眠後の登り。
高山病になっていても不思議ない状況だったから。
仮病かもしれないし、本物かもしれない。
昨日から連発しているネガティブワードの中にその言葉が出てくるから、その判断が難しい。
長男坊の様子を気にしながらゆっくり歩いた。
双六小屋の裏から歩き出し、しばらく歩くと巻道コースと中道コースの分岐に出る。
ここはやや広い場所になっていて若干視界が広がる。
そこからパッタリ長男坊の足が進まなくなった。
今までも随分励ましながら歩いたが、気持ちが一向に前に向かない。
そんな状況で父親から言われるのは、昨日散々言われ続けた言葉。
たぶんそんな風にしか感じられないんだろう、気持ちが向かない彼には。
こっちも昨日と同じ様な事ばかり言うのは嫌になる。
言葉に変化をつけるが、右から左の彼の耳には届かない。
彼は最初から気持ちが前に向かないだけ。
その状況で頑張る自分の言葉がまったく効果がなくイライラしてくる。
「進むか?」の問いにもNo!
「戻るか?」にもNo!
何を言っても「疲れた」「足痛い」「頭痛い」「心臓痛い」を連発し、挙句の果てに「ウンコしたい」・・・
・・・はぁぁぁ!?
もー知らん!もー知らん!
「テント帰っとけ。ここからなら一人で帰れるやろ。テント帰って寝とけ!」そう言って長男坊を追い越し、先に歩き始めた。
もちろんこの場所から一人で帰れる訳もなく、この言葉で実質的に強制連行に切替わりだ。
(俺は帰れって言ったぞ。勝手に付いて来るのは自分の意思やぞ。もうガタガタ言うなや)
口に出さなくてもそう言われたのと同じ。長男坊は仕方なく付いて来る。
後ろは振り向かない。
雰囲気でどの程度の距離が開いてるかを感じながら進む。
頭痛いだけが気になる。息遣いがギリギリ聞こえるくらいの距離感を持ってゆっくり進む。
あと少しだが、こっから先は双六岳直下の急登。厳しいなぁ。
急登を数歩進んで待機。気付かれないように後ろの様子をうかがう。
何度もそんな事を繰り返していたら、長男坊も気を使われてるのが分かり、またネガティブワード。
それを言った瞬間先に進む。しかも視界から消えるくらいの場所へ。
(付いて来るのは自分の勝手やろ)
暗闇で急登。その状況下に一人にされるのは慎重で怖がりな彼には耐えられない。
何かブツブツ言いながら仕方なく登ってくる。が、その足取りは重い。
更にこっち聞こえるように大きな息遣いで辛さをアピール。
こういうのが一番イライラ
時間をしきりに気にしたが、どうも長男坊のペースを待っていたら日の出には間に合わない。
(日の出はもう諦めな仕方ないかも。それでももう少し見晴らしの良い場所に移動しないと、長男坊の身長じゃこの場所からはぜんぜん見えんぞ。歩かせな・・・)
「このペースやと日の出に間に合わん。もうテント帰れ。ここで待ってても良いぞ」
「付いて来ても良いけど、こっからはちょっと早よ行くぞ。自分に合わしてたら間に合わん」
初めてのアルプスで暗闇。気分はブルー。
自分なりには頑張ってる状況でこんなこと言われたら、もう絶対山行きたく無くなるよなぁ・・・って思いながら先を歩いた。
もう空はほんのり明るんで来てた。
キツイなぁ・・・こんな厳しい状況があとどれ位続くんやろ・・・もうアイツ、いつ発狂してもおかしく無いぞ・・・って思いながら岩を乗り越えたら突然パーっと目の前が開けた。
着いたぁ・・・。
「着いたぞー!」って大きな声で随分下の方にいる長男坊に伝えた。
もう彼は返事も出来ないほどヘロヘロだ。
実際には急登が終わっただけで、双六岳山頂まではまだ20分弱歩かないと着かないが、日の出を急登の途中で見るという最悪な状況からは脱出出来た。時間は4時40分過ぎ。
・・・ひょっとしたら間に合うかもしれん!
こっからはもうなだからな山道。彼もだらだら歩けるやろう。
「日の出に間に合うかもしれん。さ、もうちょっとだけ行くで!」と先を急ぐ私。
「えーっ!さっき着いたって言ったやん!」と怒る長男坊。
でも間に合う可能性が出てきて、長男坊のそんな言葉も華麗にスルー。
急ぐ急ぐ。
もう山頂は目の前だ。時間的にはいつ日が出てきてもおかしくない。
「早い、待ってー。早い」と必死についてくる彼。頑張れ。
05:00 双六岳山頂到着!
予想外に誰もいない。自分たちだけの双六岳山頂。
日はまだ上がらない。間に合った!
「よーやったな」と言っても何も返さない彼。
じーっと廻りの風景を眺め続けてた。
そして日の出。気付けば雲海が眼下に広がってた。

廻りは360度のパノラマ。
テンションが上がる
こんな風景見せてくれてありがとう!

槍穂の稜線。大キレットもバッチリ見える。

そして今日、これから歩く稜線と笠ヶ岳。そんなに遠くには見えないんだけどなー。

他にも三俣蓮華・鷲羽・水晶・黒部五郎・雲ノ平もバッチリ見えました。
後日談を聞いても、この風景・日の出が長男坊の思い出としてしっかり刻まれてるようで、頑張って登った(登らせた?)甲斐があったなーと思ってる次第。
その風景と登った充実感を堪能した後、双六岳を後にしました。
帰りにはこれぞ双六、と言うような風景。疲れも忘れた長男坊の帰る姿の先に槍。
その姿は大きく、高い。

写真を撮ってる私に気付き、手を広げて応える長男坊。本当に誰もいない。

リフレッシュした長男坊。下りはサクサク下りて、双六小屋に到着。
テントでお湯を沸かし、カップヌードルで簡単な朝食を食べ、テント撤収。
その間に下界のいくみんに公衆電話から電話。双六でもauは携帯繋がらず。
「双六岳に登ったよ。今から笠ヶ岳に行く」と言葉少なめにぶっきら棒に話してた。
08:00 笠ヶ岳に向けて出発。
この日は稜線歩き。大した荷物も背負っていないし、風景もある。
たぶんコースタイムくらいでは完登出来るだろう。(と思ってた
)
時間通りに到着すれば13時頃には笠ヶ岳山荘に到着できる。
09:38 弓折岳
10:30 大ノマ岳
この稜線、危ない場所はほとんど無い。こんな場所を歩いて行く。

まずまず順調に大ノマ岳まで通過し、秩父平を過ぎた辺りでガスが出始める。
疲れが出始めた長男坊がしきりに「今どの辺?」と聞いてきたが、ガスが出始めてからは「大体この辺かな?」ってくらいしか答えられなかった。地図を読む力を養う事が必要だと感じた出来事で、悪天候時の道迷い遭難の多さに納得。

12:38 抜戸岳山頂。
長男坊はこの少し前からネガティブワードを連発しだし、抜戸についた頃にはムッツリ
「いつまでたっても笠ヶ岳に着かんやん!」と怒りをぶつけ始め、「だからコースタイム通り行っても13時は過ぎるってば。休憩もしてるんやから14時前やで」と言ってもガスで眺望がない状況で仕方ない事かもしれない。
このムッツリ笑顔無しが当時の彼の心境を物語ってる

今日は昨日と違い稜線歩きで楽しんで歩けると思ったんだけど、やはり最終的にはこうなる。
どうしても精神的に未熟なので、集中力が続かないと言う感じ。
本来ならそれを紛らわせる眺望が利かないというのは、大人以上に子供にはダメージとなりそうだ。
13:42 ようやく笠ヶ岳山荘到着。
テントは一張りのみ。もう一人のおじさんが今から2つ目のテント設営に入るタイミングだった。
そのテン場を見たとき、(なんでこのテントこんな離れた場所に立ててるん?指定地じゃないやろ?)と思ったが、近くに行ったらしっかりと「キャンプ指定地」と書かれていた。
笠ヶ岳山荘まではかなりの距離離れており、受付に行くだけでも相当の時間が掛かりそうだ。
驚きの遠さ・・・
テン場から見た笠ヶ岳山荘。遠いだけじゃなく、登りがキツイ。

仕方なくバテてる長男坊をテン場に残し、自分だけ受付へ。
さっきから西の空でゴロゴロと雷の音がしていたので急いでテント設営をやっつけたかった。
受付で500円のテン場代を払い、また急いで下る。
途中で2つ目のテントを張ろうとしていたおじさんとすれ違う。
挨拶したら「こんなん(遠すぎて)あかんで・・・」と少々お怒り気味
ビール買うにもトイレに行くにも10分以上掛かる道を上り下り
しないといけない
長男坊とテントを速攻で設営し、何とか雷雨までには間に合った。
さ、急ぎついでに笠ヶ岳に登るぞ!
テントに荷物をすべて置き去りにし、空身になった長男坊の身も軽い。
何よりも山荘に到着したという安心感から、精神的に楽になった様子。口も軽やか。
10分掛けてまず山荘まで上がり、そこからさらに笠ヶ岳を目指す。
笠ヶ岳は見上げるような高さにあり、長男坊は「1時間は掛かるやろなー」と言うが、登りだしたら15分で着いた。歩いてみると意外と近い。長男坊が所属しているボーイスカウトの隊長が言っていた果てしない道も一歩一歩歩いたら確実に着くんだ、という言葉をこの登山では何度も彼は経験した。素晴らしい体験じゃないか。うん。
残念ながらガスで眺望は無かったが、充実感あり。

笠ヶ岳から降りる途中で撮影。右上がテン場で左に笠ヶ岳山荘。
テン泊者には泣きたいような距離・登りがその間には存在する

6分で笠ヶ岳頂上から山荘に下り、ようやくお楽しみの
タイムだ。
長男坊は下界で98円で買えるカルピスウォーターを。
ガスってる風景を眺めながら
飲んでいると、山荘の強面のおじさんが小屋から出て長男坊に近付き「おい、よー来たな。また来いや」とだけ言ってチョコレートと飴玉を握らせた。嬉しいね。
テン場に下りてテントの中を片付け、夕食の準備に取り掛かる。
テントは入口側を槍穂稜線の方に向け、天候さえ良ければ絶好のナイスビュー。
今はこんな。

それが運の良い事にガスがどんどん晴れ、夕方にはこんな状態に。テント内からの撮影。

この日の夕飯はアルファ米のコンソメリゾット。
なんかおかしいな?と思いながら作ったら、水を倍以上入れてしまってた

リカバーするためにどうするべきか?と長男坊と考え、新たに白米(アルファ米)追加投入を決定。
でも味が薄なるやろ?という事で、
閃いた禁断の自由研究材料の投入。(ポテトチップス)
ザックの中でパンパンに膨らみ、邪魔者以外の何者でもなかったポテチ君はこうして召された。

「意外とうまいな!こういうのがキャンプの楽しみやろー!」とはしゃぐ父だったが、帰宅後「おいしくなかった」といくみんに報告してるのを聞いてショックを受けた事実あり。
旨いって言っとったやんけー!
で、ご飯の最中に
が飲みたくなった父。
最後の夜やしな、とクロックスで10分掛けて山荘まで。長男坊にカルピスウォーターも頼まれる。
笠ヶ岳山荘ではビールを飲むのも楽じゃない
夕日に染まる槍穂稜線を眺めながら山の話や下らない話をして時間が過ぎ、次の日は日の出と共に出発して下山するという予定を告げて20時には就寝。
ようやく明日が最終日だ。疲れた。
03:30 目が覚める。外を見ると月明かりが相当明るく星は隠れ気味。
雲は無くなり、大キレットがきれいに見える。穂高岳山荘には光が見えた。

奥穂高岳とジャンダルム、そしてその上にオリオン座。

テント内で写真を撮っていると、横で寝相の悪い彼がなんどもぶつかって来る。
その度に写真を撮り直す。寝ててもイライラさせる奴だ・・・
その5に続く
03:00 双六小屋テン場にて起床。身支度を整える。
03:30 熟睡する長男坊を起こして出発。
目指すは双六岳山頂。山頂からの日の出を見せたい。
コースタイムなら1時間。
長男坊がいるので1時間半あれば着けるだろうと言う考え。
たぶん日の出は5時くらいだから。
甘かった・・・。
眠い長男坊は歩き開始30分で弱音を吐く。
ネガティブワードは書くのも嫌になるくらい出た。
暗闇でヘッデンと懐中電灯だけの歩き。視界はほぼ無い。
目標どころか数メートル先も見えない状況で仕方ない事かも知れない。
でもその中で「頭痛い」だけは気になった。
初めての北アルプスで睡眠後の登り。
高山病になっていても不思議ない状況だったから。
仮病かもしれないし、本物かもしれない。
昨日から連発しているネガティブワードの中にその言葉が出てくるから、その判断が難しい。
長男坊の様子を気にしながらゆっくり歩いた。
双六小屋の裏から歩き出し、しばらく歩くと巻道コースと中道コースの分岐に出る。
ここはやや広い場所になっていて若干視界が広がる。
そこからパッタリ長男坊の足が進まなくなった。
今までも随分励ましながら歩いたが、気持ちが一向に前に向かない。
そんな状況で父親から言われるのは、昨日散々言われ続けた言葉。
たぶんそんな風にしか感じられないんだろう、気持ちが向かない彼には。
こっちも昨日と同じ様な事ばかり言うのは嫌になる。
言葉に変化をつけるが、右から左の彼の耳には届かない。
彼は最初から気持ちが前に向かないだけ。
その状況で頑張る自分の言葉がまったく効果がなくイライラしてくる。
「進むか?」の問いにもNo!
「戻るか?」にもNo!
何を言っても「疲れた」「足痛い」「頭痛い」「心臓痛い」を連発し、挙句の果てに「ウンコしたい」・・・
・・・はぁぁぁ!?
もー知らん!もー知らん!

「テント帰っとけ。ここからなら一人で帰れるやろ。テント帰って寝とけ!」そう言って長男坊を追い越し、先に歩き始めた。
もちろんこの場所から一人で帰れる訳もなく、この言葉で実質的に強制連行に切替わりだ。
(俺は帰れって言ったぞ。勝手に付いて来るのは自分の意思やぞ。もうガタガタ言うなや)
口に出さなくてもそう言われたのと同じ。長男坊は仕方なく付いて来る。
後ろは振り向かない。
雰囲気でどの程度の距離が開いてるかを感じながら進む。
頭痛いだけが気になる。息遣いがギリギリ聞こえるくらいの距離感を持ってゆっくり進む。
あと少しだが、こっから先は双六岳直下の急登。厳しいなぁ。
急登を数歩進んで待機。気付かれないように後ろの様子をうかがう。
何度もそんな事を繰り返していたら、長男坊も気を使われてるのが分かり、またネガティブワード。
それを言った瞬間先に進む。しかも視界から消えるくらいの場所へ。
(付いて来るのは自分の勝手やろ)
暗闇で急登。その状況下に一人にされるのは慎重で怖がりな彼には耐えられない。
何かブツブツ言いながら仕方なく登ってくる。が、その足取りは重い。
更にこっち聞こえるように大きな息遣いで辛さをアピール。
こういうのが一番イライラ

時間をしきりに気にしたが、どうも長男坊のペースを待っていたら日の出には間に合わない。
(日の出はもう諦めな仕方ないかも。それでももう少し見晴らしの良い場所に移動しないと、長男坊の身長じゃこの場所からはぜんぜん見えんぞ。歩かせな・・・)
「このペースやと日の出に間に合わん。もうテント帰れ。ここで待ってても良いぞ」
「付いて来ても良いけど、こっからはちょっと早よ行くぞ。自分に合わしてたら間に合わん」
初めてのアルプスで暗闇。気分はブルー。
自分なりには頑張ってる状況でこんなこと言われたら、もう絶対山行きたく無くなるよなぁ・・・って思いながら先を歩いた。
もう空はほんのり明るんで来てた。
キツイなぁ・・・こんな厳しい状況があとどれ位続くんやろ・・・もうアイツ、いつ発狂してもおかしく無いぞ・・・って思いながら岩を乗り越えたら突然パーっと目の前が開けた。
着いたぁ・・・。
「着いたぞー!」って大きな声で随分下の方にいる長男坊に伝えた。
もう彼は返事も出来ないほどヘロヘロだ。
実際には急登が終わっただけで、双六岳山頂まではまだ20分弱歩かないと着かないが、日の出を急登の途中で見るという最悪な状況からは脱出出来た。時間は4時40分過ぎ。
・・・ひょっとしたら間に合うかもしれん!
こっからはもうなだからな山道。彼もだらだら歩けるやろう。
「日の出に間に合うかもしれん。さ、もうちょっとだけ行くで!」と先を急ぐ私。
「えーっ!さっき着いたって言ったやん!」と怒る長男坊。
でも間に合う可能性が出てきて、長男坊のそんな言葉も華麗にスルー。
急ぐ急ぐ。
もう山頂は目の前だ。時間的にはいつ日が出てきてもおかしくない。
「早い、待ってー。早い」と必死についてくる彼。頑張れ。
05:00 双六岳山頂到着!
予想外に誰もいない。自分たちだけの双六岳山頂。
日はまだ上がらない。間に合った!
「よーやったな」と言っても何も返さない彼。
じーっと廻りの風景を眺め続けてた。
そして日の出。気付けば雲海が眼下に広がってた。
廻りは360度のパノラマ。
テンションが上がる

こんな風景見せてくれてありがとう!
槍穂の稜線。大キレットもバッチリ見える。
そして今日、これから歩く稜線と笠ヶ岳。そんなに遠くには見えないんだけどなー。
他にも三俣蓮華・鷲羽・水晶・黒部五郎・雲ノ平もバッチリ見えました。
後日談を聞いても、この風景・日の出が長男坊の思い出としてしっかり刻まれてるようで、頑張って登った(登らせた?)甲斐があったなーと思ってる次第。
その風景と登った充実感を堪能した後、双六岳を後にしました。
帰りにはこれぞ双六、と言うような風景。疲れも忘れた長男坊の帰る姿の先に槍。
その姿は大きく、高い。
写真を撮ってる私に気付き、手を広げて応える長男坊。本当に誰もいない。
リフレッシュした長男坊。下りはサクサク下りて、双六小屋に到着。
テントでお湯を沸かし、カップヌードルで簡単な朝食を食べ、テント撤収。
その間に下界のいくみんに公衆電話から電話。双六でもauは携帯繋がらず。
「双六岳に登ったよ。今から笠ヶ岳に行く」と言葉少なめにぶっきら棒に話してた。
08:00 笠ヶ岳に向けて出発。
この日は稜線歩き。大した荷物も背負っていないし、風景もある。
たぶんコースタイムくらいでは完登出来るだろう。(と思ってた

時間通りに到着すれば13時頃には笠ヶ岳山荘に到着できる。
09:38 弓折岳
10:30 大ノマ岳
この稜線、危ない場所はほとんど無い。こんな場所を歩いて行く。
まずまず順調に大ノマ岳まで通過し、秩父平を過ぎた辺りでガスが出始める。
疲れが出始めた長男坊がしきりに「今どの辺?」と聞いてきたが、ガスが出始めてからは「大体この辺かな?」ってくらいしか答えられなかった。地図を読む力を養う事が必要だと感じた出来事で、悪天候時の道迷い遭難の多さに納得。
12:38 抜戸岳山頂。
長男坊はこの少し前からネガティブワードを連発しだし、抜戸についた頃にはムッツリ

「いつまでたっても笠ヶ岳に着かんやん!」と怒りをぶつけ始め、「だからコースタイム通り行っても13時は過ぎるってば。休憩もしてるんやから14時前やで」と言ってもガスで眺望がない状況で仕方ない事かもしれない。
このムッツリ笑顔無しが当時の彼の心境を物語ってる

今日は昨日と違い稜線歩きで楽しんで歩けると思ったんだけど、やはり最終的にはこうなる。
どうしても精神的に未熟なので、集中力が続かないと言う感じ。
本来ならそれを紛らわせる眺望が利かないというのは、大人以上に子供にはダメージとなりそうだ。
13:42 ようやく笠ヶ岳山荘到着。
テントは一張りのみ。もう一人のおじさんが今から2つ目のテント設営に入るタイミングだった。
そのテン場を見たとき、(なんでこのテントこんな離れた場所に立ててるん?指定地じゃないやろ?)と思ったが、近くに行ったらしっかりと「キャンプ指定地」と書かれていた。
笠ヶ岳山荘まではかなりの距離離れており、受付に行くだけでも相当の時間が掛かりそうだ。
驚きの遠さ・・・

テン場から見た笠ヶ岳山荘。遠いだけじゃなく、登りがキツイ。
仕方なくバテてる長男坊をテン場に残し、自分だけ受付へ。
さっきから西の空でゴロゴロと雷の音がしていたので急いでテント設営をやっつけたかった。
受付で500円のテン場代を払い、また急いで下る。
途中で2つ目のテントを張ろうとしていたおじさんとすれ違う。
挨拶したら「こんなん(遠すぎて)あかんで・・・」と少々お怒り気味

ビール買うにもトイレに行くにも10分以上掛かる道を上り下り


長男坊とテントを速攻で設営し、何とか雷雨までには間に合った。
さ、急ぎついでに笠ヶ岳に登るぞ!
テントに荷物をすべて置き去りにし、空身になった長男坊の身も軽い。
何よりも山荘に到着したという安心感から、精神的に楽になった様子。口も軽やか。
10分掛けてまず山荘まで上がり、そこからさらに笠ヶ岳を目指す。
笠ヶ岳は見上げるような高さにあり、長男坊は「1時間は掛かるやろなー」と言うが、登りだしたら15分で着いた。歩いてみると意外と近い。長男坊が所属しているボーイスカウトの隊長が言っていた果てしない道も一歩一歩歩いたら確実に着くんだ、という言葉をこの登山では何度も彼は経験した。素晴らしい体験じゃないか。うん。
残念ながらガスで眺望は無かったが、充実感あり。
笠ヶ岳から降りる途中で撮影。右上がテン場で左に笠ヶ岳山荘。
テン泊者には泣きたいような距離・登りがその間には存在する

6分で笠ヶ岳頂上から山荘に下り、ようやくお楽しみの

長男坊は下界で98円で買えるカルピスウォーターを。
ガスってる風景を眺めながら

テン場に下りてテントの中を片付け、夕食の準備に取り掛かる。
テントは入口側を槍穂稜線の方に向け、天候さえ良ければ絶好のナイスビュー。
今はこんな。
それが運の良い事にガスがどんどん晴れ、夕方にはこんな状態に。テント内からの撮影。
この日の夕飯はアルファ米のコンソメリゾット。
なんかおかしいな?と思いながら作ったら、水を倍以上入れてしまってた


リカバーするためにどうするべきか?と長男坊と考え、新たに白米(アルファ米)追加投入を決定。
でも味が薄なるやろ?という事で、

ザックの中でパンパンに膨らみ、邪魔者以外の何者でもなかったポテチ君はこうして召された。
「意外とうまいな!こういうのがキャンプの楽しみやろー!」とはしゃぐ父だったが、帰宅後「おいしくなかった」といくみんに報告してるのを聞いてショックを受けた事実あり。
旨いって言っとったやんけー!

で、ご飯の最中に

最後の夜やしな、とクロックスで10分掛けて山荘まで。長男坊にカルピスウォーターも頼まれる。
笠ヶ岳山荘ではビールを飲むのも楽じゃない

夕日に染まる槍穂稜線を眺めながら山の話や下らない話をして時間が過ぎ、次の日は日の出と共に出発して下山するという予定を告げて20時には就寝。
ようやく明日が最終日だ。疲れた。
03:30 目が覚める。外を見ると月明かりが相当明るく星は隠れ気味。
雲は無くなり、大キレットがきれいに見える。穂高岳山荘には光が見えた。
奥穂高岳とジャンダルム、そしてその上にオリオン座。
テント内で写真を撮っていると、横で寝相の悪い彼がなんどもぶつかって来る。
その度に写真を撮り直す。寝ててもイライラさせる奴だ・・・

その5に続く